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不登校児専門草潤中学校のスピーチ|バーバパパのがっこう、理想の学校

絵本「バーバパパのがっこう」を読んだことがありますか?

バーバパパのがっこう

バーバパパえほんシリーズの1冊です。

 

今、手元に置きながら、この記事を書いています。

私はもう50代ですが、子どもの頃の本ですね。懐かしいです。

なぜ、急にこの本の話をしだしたかと言うと、この中にでてくる学校こそ「理想の学校」だからです。

 

バーバパパのがっこう3

 

以前に、不登校特例校の記事を書きました。

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文科相指定の不登校特例校の存在|教室に入れない子の選択肢

 

その中で触れましたが、2021年4月、岐阜市に東海3県初の公立の不登校特例校の中学が開校しました。

草潤(そうじゅん)中学校です。
学校説明会には定員40名にその3倍の親子が参加。
それだけ、不登校の子は多く、このような学校を待ち望んでいたことがわかります。
この学校の特徴は
毎日、週に2.3日でも、オンライン学習もできて通学しなくてもいい。
担任は生徒が選ぶ。校則、制服、給食もない。
好きな科目を選択でき、それぞれの子に応じてカリキュラムを作成できる。

通信制高校に似ていますね。公立中学校では今までにない画期的なシステムです。

 

中学までは不登校でも、高校からは通えるようになる子達が多くいます。

それは、選択肢が広がるから。高校からではなく、中学から「選択肢」が増えます。

 

その草潤中学校の除幕式のスピーチで「バーバパパのがっこう」の話が出てきます。

スピーチをしたのは、京都大学総合博物館准教授 塩瀬隆之教授です。

参考 岐阜市に「不登校児専門公立中」開校。除幕式で会場を涙させた京大准教授のスピーチYahoo!Japanニュース

 

学校がこんな楽しい場所であれば、個性を尊重する場所であれば、こんな先生だったら・・・。

ここなら通える。楽しそうな通う姿を想像した。

そんな風に希望を持つ親は多いと思いのではないでしょうか。

 

学べる場所の選択肢について、義務教育に関しても言及しています。

また、見守る、待つということにも。

 

学校関係者の方の話で、これほど不登校となった子達の状況を理解している記事を初めて読みました。

是非、多くの方に このスピーチを読んでほしい。

私も読みなおしたいので残しました。

 

そのまま引用します。

早川教育長よりこのような機会をいただき、まことにありがとうございます。

私が最初に早川教育長から、「塩瀬さん、理想の学校ってどんな学校だと思うか?」と聞かれたとき、即答したのが、「『バーバパパのがっこう』のような学校」でした。

この絵本の話を少し紹介させてください。

これはフランスの小学校のお話なんですけれども、学級崩壊が起きそうなときに、親御さんや市長さんが、「おまわりさんをつけてでもいいので、学校にしばりつけて勉強をさせないといけない」と言いだすところからスタートします。

それを見かねたバーバパパが、皆を森の学校へ連れ出します。

バーバパパには個性豊かな家族がいるので、子どもたちの好きなことに合わせて、いろんなことを教えることができます。

歌を歌うのが好きな子ども、自然観察が好きな子ども、機械いじりが好きな子ども、みんなそれぞれ夢中になるものが違います。

好きになったことを突き詰めると、その先に分からないことがあっても、さらに知りたいと思えるのです。

その瞬間こそが、まさに勉強したいと思う瞬間で、このときに学校の先生が戻ってくると、以前と同じ算数の授業をしたとしても、子どもたちの食いつき方が違ってきます。

そのような瞬間こそが、子どもたちにとっての学びの場なのです。

半信半疑だった市長も親御さんも、変化した子どもたちの姿を信じて、バーバパパの学校に子どもたちを預けたい、と思うようになります。

こんな学校こそが、もしかすると理想の学校かも知れない。

それが、私が早川教育長にお話ししたことです。

ここで大切なことは、子どもたち自身が学びを選ぶということです。

重要なのは「学びの選択肢がたくさんある」こと 私が、世界中、それから日本中、理想的な学校がどういうところなのかというのを調べる中で、魅力的な学校に共通すると感じることがあります。

それは、「学びの選択肢がたくさんある」ことです。

好きな場所で学ぶことができたり、好きなことを学ぶことができたり、学ぶ内容を選べたり、さらには学びの設計図である「時間割」を先生と一緒につくることができる学校こそが、子どもたちにとって本当によい学校なのではないか、と思うようになりました。

しかし、子どもたちがこれを選ぶというのはなかなかに難しく、しかも、そういう環境はほとんどありません。

大人は、時間割も、教室も、担任の先生も、9教科も、よかれと思って子どもたちに与えます。

子どもたちに必要だと思うから与えるのです。

でもこれを子どもたち自身が自分で選べるチャンスというのは、どうすれば作ることができるのか。

みんな同じように同じペースで学ばないといけない、これができることが、大人になるために必要だと大人は考えます。

そのためには我慢をしないといけないし、耐えなければならない。

しかし、本当にそうでしょうか。

我慢して、耐えることだけが、子どもたちに必要なことで、これを6・3・3の12年間、さらに4年間足して16年間耐え続けられた人だけが大人になれるのでしょうか。

私は、そうでない場所、を作ることが大事だと思います。

子どもたちが勘違いしている言葉の一つに、「義務教育」という言葉があります。

子どもたちのほとんどは、学校に行かなければいけない義務だと感じています。

どんなに苦しくても、どんなにしんどくても、行かなければいけないのが義務教育だと勘違いをしています。

大人はここで声を大きくして、それが間違いであることを伝えないといけないと思います。

子どもたちが持っているのは「学習権」です。

学びたいと考えたときに、学んでいいという権利です。

義務を負っているのは大人で、その子どもたちが学びたいと言ったときに、学ぶ方法すべてを提供しなければなりません。

教室の中に、正方形のタイルのようにまっすぐ並ぶことのできた子だけが学んでいいという、そういう条件付きの学びではなく。

子どもたち、いつ、どこで、だれと、なにを学びたいのか、そのすべてを選んでもいいはずで、その環境を提供できることこそが、大人に課せられた使命だと思います。

そういう意味で、この草潤中学校を作られた皆さんは、ものすごいハードルを乗り越えてこの場を作られたのだと思います。

この理想的な学びを実現するということは非常に難しいことで、これまでのご準備をされてきた関係者のご尽力に敬意を表したいと思いますし、こういう場所を地元の皆さんと一緒に作られたということ自体が素晴らしいことだと思います。

先ほどの学びもそうですけれども、自分で選んで自分で学んだことは決して忘れないのだと思います。

この学校自身も、子どもたちが学ぶ場所を地元の皆さんと一緒に作れるということ自体が、この街の中で忘れられない学校を作るという意味で、すごく大事なことだと思います。

いま学校現場は、たくさんのことを要求されています。グローバル人材、スーパーサイエンス、SDGsさらにプログラミング。

これを全部できたら、スーパーマンにしかならないですよね。そんな大人は町の中に何人いるのでしょうか。

そんな大人が見当たらないにも関わらず、なぜかみな、学校に、たくさんのことを要求してしまいます。

すべてを学校にやらせすぎな気がします。

学校がやるべきことは、子どもたちの学びの機会を奪わないことです。

子どもたちが学びたいと思ったときに、学べるような環境を用意することだけが唯一、学校に課せられた使命です。

学びを嫌いにさせるのはもってのほか、絶望しそうになったときに学びを諦めない、そんな子どもたちに育つ場所が学校なのだと思います。

そういう意味で、この草潤中学校は、子どもたちにとっての学びを守る、当たり前だけれども、それでいてすごく難しいことに挑戦してくださっている、すごい学校だと思います。

これが北欧やシンガポールのような教育先進国でもなく、日本の真ん中にある岐阜市の自治体が作った公立の学校ということが、もっとも重要なことだと思っています。

公立でこれが実現できるということは、ここが特別な学校ではなく、本当に誰でもどの地域にでも、すべての子どもたちが受ける権利を守れる学校の在り方が示されたと思っています。

この学校がチャレンジすることに対しては、まだ戸惑いもあるし、すぐ結果が出るかはわかりません。

しかし、ぜひ温かく見守っていただきまして、ここで育った子どもたちが、本当に学ぶことが大事であるということを自信をもって言えるような時間をぜひ待ってあげていただきたいと思います。

「待つ」ということが大事だと思うので、ぜひ皆さんもご協力いただけたらと思います。